2021年2月19日に弊社主催でSR訪問で重要な5W1Hについて学べるセミナーを開催しました。

 
第2回は、SR訪問での対話によって企業側と株主の双方に利益をもらたすとお話いただいたブラックロックの藤木氏と、楽天で計15年間にわたってIR資金調達及び東証一部の上場準備を経験された市川氏が、SR訪問の基本となる「Why」「What」についての対談内容をお伝えします。

Why: 事前に投資先の理解を深めることで双方の利益に結びつく

市川氏
まず基本となる「Why」の部分からお話していきたいと思います。SRがなぜ必要なのか理解を深めておらず、通常のIRのミーティングのみ実施している上場企業は少なくありません。「SRは特別に必要でしょうか」とご質問されるIR担当者もまだいらっしゃいますので、まずそこから掘り下げていきます。
藤木氏
先にお話したように、形式的ではなくて実質的な議決権行使を行うためには、出来る限り投資先企業の状況を事前に理解しておくことが非常に重要です。
市川氏
IR担当者からみると通常お会いしているアナリスト、ブラックロックさんの場合は海外にもアナリストが多くいると思いますが、そのアナリストとコミュニケーションをとっていれば情報はシェアされていますが、スチュワードシップチームとも対話したほうが後々慌てなくていいということですね。
藤木氏
IR関連の対話だと四半期の業績動向などが議論の中心ですよね。スチュワードシップ活動における対話と視点が異なる部分もあるので、SR関連の対話を通じて中長期的な経営戦略や、ガバナンスなどについて事前に意見・情報交換できていると相互理解が深まると思います。
市川氏
現状の機関設計を選択した理由といったお話はIRミーティングでは出てこないですよね。

What: ガバナンスや人的資本など、対話の広がりを持たせるように定性的内容も伝えられるように準備しておく

市川氏
ありがとうございます。では次は「What」についてです。そもそも何を話したらいいのか悩んでしまうという声をよく耳にします。私は有事と平時の両方があると考えています。有事というのは、プロキシーファイトなどの場合に行う対話のことです。今回は平時に何を話したらいいのかについてお伺いしたいと思います。
藤木氏
1番最初のミーティングでは、どのように現在の経営やコーポレートガバナンスの仕組みが作りあげられてきたのか、企業の歴史やこれまでの事業戦略の変化等を伺うことが多いです。これは個々の企業が置かれている状況によって望ましいガバナンスの形態が異なると考えているためで、具体的には事業ポートフォリオの変遷、リーダーシップ体制などをお伺いします。また、取締役会の構成や執行と監督のバランス等、ガバナンスの実効性や課題意識について議論することが多いです。近年では、環境・社会課題について対話することも増えてきており、気候変動リスク及び機会に係わる情報開示については、投資先企業側の情報開示も向上に伴い、対話件数が増えてきています。
市川氏
ガバナンスや企業戦略を話していく過程で、長期の経営戦略の話になってくると、取締役会の構成や報酬の考え方、評価方法や働き方・・・というように対話が膨らんでいく広がっていくイメージでしょうか。
藤木氏
そうですね。最近は、中期経営計画に多様性の確保や経営人材の育成等を含む、人的資本についての取り組みを盛り込んでいる企業も増えています。ガバナンスから始まり戦略、そして人的資本について話題が広がっていくことが多いです。人的資本の取り組みは定量化しづらい分野であるため、対話を通じて取り組み状況をお伺いできると有効だと考えます。
 
SR訪問は投資家にとって議決権行使を行うために重要であること、そして対話内容は会社の変遷を踏まえた上でのガバナンス体制などが多く話されていることを、実体験を元にお話いただきました。次回はSR訪問の「When」と「Who」についてお届けします。